本当に申し訳ないのですが、最初は地元じゃ負け知らずの不良が
空手を志すという展開に眉をひそめてました。
大概そういった話だと、ろくな練習もせずに上達していって、
ライバルたちと出会い、負けたり勝ったりして最後は全国出たり取ったりするじゃないですか。
あれ違うと思うんですよね。少なくとも空手では。
上でろくな練習もせず、と決め付けてますが、実際そうだと思うんですよ。
だって高校から空手を始めて全国とかって、要するに1~2年程度で
今まで空手しかやってこなかったような連中に勝つってことになるじゃないですか。
普通全国出るような選手って小学校低学年とか、それ以前からって人が多いです。
ということは平均して7~8年間、下手すれば10年以上のキャリアがあるわけでして、
それはもう才能とか気が狂うような努力くらいじゃ埋まらないものだと思います。
実際、私の兄弟子に高校から空手を始めて全国に出た方がいらっしゃいますが、
その方は結局高校卒業前にオーバーワークで椎間板ヘルニアを患ってしまい、
今では全力で組手や型ができない体になってしまいました。
高校スタートで全国って私の認識ではその位厳しいんですよ。
なので漫画内での表現程度の努力で全国出場ってのに違和感があったんです。
そんなもんで、空手でそんな描写があったらやだな、って感じてました。
しかも最初のほうで野田君(主人公・半座君を空手部に誘った経験者)が、
いくら勘違いとはいえ攻撃してきていない半座君に殴りかかるわ、
突きは当たらないわと言う部分も結構どうだろうか、と思いました。
空手経験者なら殴りかかるなよ!とか、
いや、多少運動神経が良かったり喧嘩してたり程度じゃ
経験者の突きは避けられないだろ!とかですね。
(完全に私の経験則です。道場に入られる子の中で、
運動自慢や喧嘩自慢をする子はいますが、それまでずっと練習していた子に
入ったばかりで避けられる&当てられる子って会ったことがないです。
なので『俺は喧嘩一筋だけど空手ヤロウに負けたことねぇぜ!』
という方はどうかご容赦ください)
しかししばらくすると……半座君よえぇwwwwwwwwってなります。
空手部の先輩には基本負け、練習試合の相手(黒帯ホヤホヤ)には辛勝しますが、
偶然的な要素(漫画なので必然なのですが)で勝ったようなもので、
初心者としてはかなりリアルな勝ち方だったと思います。
ということで、空手を積み重ねた人が無碍にされず、才能で片付けることも無く、
また、いわゆる漫画的表現はありますが(まだ)必殺技やトンデモ戦法も無く、
非常に読んでいて気持ちの良い漫画で、私の中では久しぶりに大ヒットです。
少々気になるところはありますが
(型や組手で前屈したとき後足かかとが浮いているとか、組手において
体を上下させて拍を取るなどの部分です。実際の大会でも良く見る光景ですが、
本来的に空手でそういった動きは推奨されない……はずです。……多分。)
それはまた道場の違いや、目指すものなどで変わるものなので、
きっと私と同じような指導を受けたような経験者の方でも楽しめると思います。
とにかく、空手m@sterに興味を抱いて頂けた方なら必ずハマる作品です!
空手m@sterもハンザスカイに負けないくらい面白いものを目指し、
頑張って作っていきたいと思います。
それでは、失礼します。
by もはや秋田書店の回し者
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